星の原休憩所

映画、アニメ、読書など、趣味の感想記録です。

「蝿の王」 ウィリアム・ゴールディング

読書14.「蝿の王」 ウィリアム・ゴールディング 新潮文庫

ジャックはリーダーになりたかった。うまくやれる自信も持ってた。なのに、みんなが選挙で選んだのはラーフだった。それが気に食わない。なんで、あんな奴が・・・。

一方で、ラーフは、あんまり深く考えることの出来ない少年で、ジャックの評価通り、そんなに大した器ではないんだと思う。ただ、みんなに持ち上げられたから、僕がやってもいいよ。的な。

そんな二人の対立が、決定的な破局になる。お互いの考え方の違いから、足の引っ張りあいになって、互いに相手が言うことを聞かないと言って、揉める。

まともな意見を持っている人間に限って、おどおどした口調でしかしゃべれない。からかわれ、バカにされ、相手にされない。

リーダーをやりたいなら、そういう言葉を持っている人間をもっと大事に扱うべきだと思うんだが、二人の少年は、どっちもそれが出来ない。

これが人間の正体だと、物語が教えてくれる。なぜ、うまくいかないのか。

「なぜ僕が、あんな奴の言うことを聞かなきゃいけないんだ!!」 一言でまとめるなら、指導権を取りたい人間が二人いちゃ駄目って話。

「ユーリ!!! on ICE」第2滑走

第2滑走「2人のユーリ!? ゆ~とぴあの乱」

有利がせっせとトレーニング兼ダイエットをやっていて、その姿が胸に突き刺さる。ああ、私も少しはやらなきゃなあ。という気分になるというか。体を動かさないと、ダメになるよね。的な反省を感じる。

正直、ヴィクトルと有利だけじゃ、狙い過ぎではまらなかったと思うが、ユリオの登場で、物語に華ができたと思う。競い合うっていいよね。自分より思いっきり年下の男の子にライバル視されてて、せっせと張り合ってくるの、かわいい。

三角関係になっている分、物語的にバランスが取れているんだな、と思った。新しい課題ももらったことだし、どうなることか、次回を待ちます。

「ユーリ!!! on ICE」第1滑走

第1滑走「なんのピロシキ!! 涙のグランプリファイナル」

少し前の話題作だけれど、アマゾンプライムビデオにあったので、試しに見てみることにしました。

で、さすがに話題になるだけのことはあるなあ。と、

ラストの温泉は、「エヴァ」を意識したのか、いろいろ隠し方が面白かった。主人公の実家が温泉だというのは、このために狙ったのか?

今時、こういうのは、モデルになる温泉やスケートリンクがありそうだな、と思いました。さぞかし、聖地巡礼が流行ったことだろう。

ラストのひっぱりが良かったので、視聴継続する気持ちになった。次回を待ちます。楽しみです。

ディーン・デュボア監督 「ヒックとドラゴン2」

映画31.ディーン・デュボア監督 「ヒックとドラゴン2」 (アメリカ・2014)

前作から5年後。バーク島もすっかり変わって、人とドラゴンが共存する世界になっている。ヒックや仲間たちも成長して、大人になってきた。ヒックもいい男になってきたよね。

冒頭から、ドラゴンとの飛翔シーンが全開だし、今回はヒックもムササビ式に自分で飛んでいるので、見ていて、非常に気持ちがいい。

世界が広がり、キャラクターも増え、一番の謎だったヒックのお母さんが登場。死んだと思っていたのに、ちゃんと生きていたのかって。

見どころは、ヒックの両親の再会シーンでしょう。いやあ、もう、あのわからず屋のお父さん、このお母さんと会って、どうなることかと見守っていたけど、見ていて恥ずかしいばかりにラブラブじゃないですか。いいですわ。

いや、もう、恥ずかしいから、やめて。よくもまあ、そんなセリフを言ったり、歌ったり、踊ったりしちゃうよね。などと、私は、あのお父さんを見直しましたよ。さすが、長やっているだけのことはあるわ。決めるときには決めるわ。すごいわ。そんなこと言われたら、ほだされちゃうわ。

みんなでまた家族になろうって、その決心が気持ちよかった。その先に、悲劇もまたあるわけだけれど、いっときでもそれを見れたのが幸せな瞬間でしたよ。よかったです。

「機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ」第25話

第25話「鉄華団

第一期、最終回。前回までのひどい展開が、まるでなかったことのように、きれいにまとまって終わった。何が起きたのかと思って、びっくりした。

記憶違いでなければ、このキャラ、確か、思いっきり死んでたよね?? コクピット潰れて、血にまみれていたような・・・というキャラが、あっさりと包帯巻いた姿で、まるで軽症だったかのように出て来るし、「みんな、ここで死んでこい」と言わんばかりにキチガイじみて、特攻かけていた展開を、思いっきり変更して、「本当は生きろと言いたかったんだ」と言い直しているし、三日月が普通に助けに来ただけのかっこいいキャラに見えるし、最終回だけ、こんなにきれいにまとめて、それでいいのか?

いきなり普通のアニメになった。という感じに見える。

と言うより、このぐらいで本当は良かったんじゃないのか? 今までのひどい展開こそがどうかしていたんじゃないのか? 全編この調子なら、そのほうが良かったのに。

なんか、曇りガラスで覆われていたものが、いきなり曇りが晴れて、スッキリくっきり、明るくなったような、そんな感じ。

ひどいといえば、マクギリスの裏切りだけがひどいが、このキャラが、どういうふうに考えて動いていたのか、ようやくわかったので、これはこれでいいでしょう。

むしろ、素直に相手を信じていたガエリオの人の良さに、哀れみを感じるし、むやみに人を信じるってことは怖いんだって、そういうテーマにもつながっていいんじゃないかな。と思う。

終わり良ければ、すべてよし。と言っていいのかどうかは知らないが、やけにスッキリと終わって、きちんとした最終回だったので、もう、ここまででいいのかな。と思う。

第二期を続けてみるかどうかが、ちょっと迷いどころなんだけれど、あんまり鬱展開ばかり見たくないので、次はしばらく別の作品を見ていこうかと思います。予定は未定。

「機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ」第24話

第24話「未来の報酬」

・・・あまりにひどい話なので、眉をしかめてみてますよ。個人的には、「こんなの間違っている!」と言って、泣いているお姉さんに賛成だな。子供が身を犠牲にして、戦わなきゃいけない世界。望んで、そちらに進むしかない世界は、やっぱり、間違っていると思うし、そんな彼等の犠牲が、未来の報酬だとは、あんまり思いたくない。

ある種、それって、深読みすれば、イスラム国の兵士とか、旧日本軍とか、そういう追い詰められた状況の兵士たちを象徴しているのだろうか? という気もしないでもないけど、どちらにせよ、見ていて気持ちのいい物語でもない。

よくもこんなひどい話を、夕方の5時に放送したものだと思って、

これを見てどう思うか? という部分、視聴者は問いかけられているんだと思うけど、みんなの感想はどうだったのかねえ? 興味があるようなないようなだけど、これを見て、鉄華団のやっていることは正しい。などと素直に思う人とは、あんまり付き合いたくはない。

と言うより、世の中が、こんなふうな子どもたちを生み出さないことを祈ります。切に。

「坂の上の雲」第1巻 司馬遼太郎

読書13.「坂の上の雲」第1巻 司馬遼太郎 文春文庫

ドラマ版は未見。どんな話か全然知らなかったけど、幕末を過ぎて、明治時代を勉強したかった私にはちょうどいいです。初期の方は、この間まで読んでいた「翔ぶが如く」と時代的に若干かぶっているので、幕府の崩壊によって、士族の扱いが変わってしまったことがよくわかるし、明治政府が学校を整備し、「貧乏が嫌なら勉強をしろ」という流れに、その子どもたちが乗っていく様子が見えて、興味深かったです。学問で身を立てて、仕官の道を目指す。それがこの時代の空気だと。

そうやって志を立てたものたちが、みんな東京や大阪など都会に向かい、人によっては、海外留学をしていく。その運命の流れがなかなかドラマチックで、これからの展開も楽しみです。