星の原休憩所

映画、アニメ、読書など、趣味の感想記録です。

中田秀夫監督「リング」

劇場公開から5年目にして初めて見ました。(^^);
単に、見る機会を逸していただけですが、ダンナが一度は見た方がいい映画だというので。

正直な感想を言えば、思ったより怖くなかったです。当時あんなに騒がれていた割には拍子抜けという感じかな。
ただ、私の場合、原作小説を映画公開よりはるか以前に読んでいるので、いまさら・・という感じはありましたね。ラストのオチまで全部、ストーリーを先に知っていたので。
さらに言えば、飯田譲治版の「リング」まで先にTV放映で見ているし。

単純に怖さで言えば、小説を読んだときの方がはるかに怖かったです。
特に、小説版はVTR映像の内容をどろどろした(と言う表現が正しいかどうかは?だけど)文章で書き連ねていたから、(特に老婆が方言で語りかける部分とか「まばたき」のなぞが明かされたときはかなり気持ち悪かった)「リング」の怖さは一番にあのVTRテープの内容だろうと思っていた身にはこの映画はちょっとびっくりでしたね。

飯田監督版では、そのVTRテープの映像部分を原作の描写そのままそっくりに作ってあって、それが「リング」を映像化する話題にもなっていたんだけど、中田監督はよりによってそれを思い切りよく切っちゃって、独自の解釈で新しく作っちゃった。

それが逆によかったから、映画版がこれほどヒットしたんでしょう。原作のエッセンスだけ引き抜いて、自己流の怪談映画に仕上げた。確かにVTRテープの中身にこだわる必要はなかったんだと教えられた気がします。

ただ、原作は原作で傑作なので、一度は読んでみてもいいと思います。映画のおかげで原作がヒットしたというよりは、原作がそれ以前に口コミで話題になっていたからこその映画化だったんですから、この点は間違えないように。

ちなみに鈴木光司では「楽園」「光射す海」(新潮文庫)もオススメです。というか、実は私は「リング」よりこの2作品の方が好き。

映画でも冒頭から「荒れ狂う夜の海」という描写を使っていましたが、やっぱ鈴木光司は「海」と「洞窟」ですね。さすがに監督もわかってらっしゃる。(^^)

3部作は「リング」「らせん」を読んだ時点で止まっているんだけど、いい加減、「ループ」も読もうかなあ・・とそんな気になってきました。今さらだけどね。