第5話「大脱走!囚われのガンダムファイター」
いやあ、見事ですね。今川監督の物語の構図は基本的に単純明快でわかりやすいんだけど、今回のテーマは「諦念からの脱出」ですか。
物語の舞台がネオロシア、というせいもあって、もちろん、景色は冬。雪に閉ざされた家々。吹きすさぶ寒風。
でもって「囚われの身」「絶対に出られない」というイメージが、作品全体につきまとっている。
第一、初登場のアルゴの最初のセリフが「あきらめろ!」なんですね。「お前一人では、どうあがいてもここからは逃げられん」
わざわざ追い打ちをかけるように「どうあがいても、無理」というのをことさらに強調する。
ゲストキャラにバードマンという男が出てきて(声:青野武)、同じくドモンに語りかけるけど、そのセリフは「何もかもあきらめろ。ここへ入ったからにはチェックメイト。もうおしまいさ」とこんな感じ。
セリフを全部抜き出せばはっきりするけど、今回登場するキャラクター全部がそればかりくり返し言ってます。
「無理だね」「あきらめろ」「お前はもう逃げられない」・・・。
く、くらい。本当にくらいよ・・。空までがはっきり曇天。
そのイメージに、冷凍刑にされているカッシュ博士のイメージをだぶらせ、ドモンに「俺も囚人かもな」と言わせているのも次回へのつながりとして見事。
閉ざされた鉄柵の向こう側に鳥がいて、それにエサをやるシーンなんかはわざとらしくも、涙が出るよ。そうまでして「自由」を閉ざすか。バードマンという名前からして、何かの皮肉のようだ。
最終的に脱走するシーンで初めて空に太陽が戻り、ラストは夕陽。鳥に囲まれて去っていくバードマンという構図。
「でもな、俺たちも結局、地球というリングに囚われているんだぜ・・・。」
最終回までのテーマの予感がもう既にここで出ているんですね。初めて気づきました。なるほど・・・。