星の原休憩所

映画、アニメ、読書など、趣味の感想記録です。

「雪のひとひら」 ポール・ギャリコ

■「雪のひとひら」 ポール・ギャリコ 新潮文庫

「月刊MOE」が冬になると「雪にまつわる童話特集」みたいな企画を毎年立ち上げるんだけど、そうなると必ず誰かが「一度は読むべき名作」として取り上げるのがこの作品。それでずっと気にしていたのだ。

今回、私も「雪だるま」をテーマに物語を書いてみたので、参考になるかな? と思って読んでみた。

そして、感動。そうだ。童話というのは、風刺なのだ。
ある女性の一生をたったひとひらの雪の姿で表現し、彼女が高い空から舞い降りて誕生したときから、年老いた彼女がたった一人で海にたどり着くまでの長い道のりを童話的な表現を駆使して見事に描く。
その生涯を通じて、彼女の一生はなんだったのか? を感動的に問いかける。

「私はなんのために生まれてきたのか?」と・・。

物語の理想的な姿を見ましたね。こういう作品を書けたらどんなにいいだろうと思った。

あなたの一生に何一つ無駄なものはなかった。すべてが調和の中にある。

興味のある方は、是非読んでみてください。

【追記】
原題は「SNOWFLAKE」になるらしいけど、どこかで聞いた言葉だなあ? と思ったら、獣木野生の「THE WORLD」第1巻の中に登場した精霊の名前が「スノーフレーク」なんだわ。獣木さんもこの作品を読んでいたのか・・。というより、「THE WORLD」の発想そのものが、この作品に由来するんじゃないだろうか? と思ってしまったよ。(^^)

【補足】
個人的に印象に残った一言。
「みんなに笑われてそれは恥ずかしく、悔しい想いをしたけれど、よく考えれば、私を笑うことによってあの人たちは少しだけ幸せになれたのだ。そう考えれば、私がこんなに惨めで悲しい想いをしたことも決して無駄ではなかったのだ」(←うろ覚えだから、正確ではありません)

この逆転の発想がすごいと思いました。私を笑った人たちは、本当に幸せになれたのでしょうか? 今でも幸せですか?