■「スパイラル〜推理の絆〜」第3巻 作:城平京 画:水野英多 エニックスガンガンコミックス
「きみは引力というものを信じるかい?」と言ったのは、ブッチ神父(「ジョジョの奇妙な冒険」)だけれど、人と人の出会いというものには「運命」のような引力が働く。仏教で言うなら「縁」という言葉だけれど。
同じ事を物語に関しても言えると思う。この世には、ありとあらゆる物語が存在するのだ。本なんか一生かけても読み切れないだけある。そんな中で、たまたま私がこの本を手に取った。私の元にこの本が来た・・これは、偶然だろうか? 必然だろうか? と、考えてしまう。
などと大げさな出だしで始めましたが、いやあ、マジでこの本の内容には「運命」を感じたよ。(^^)
つまり、「自分の力を信じろ!」というのが、この作品のテーマなんだ。
そして、物語を読んでいればはっきりとわかる。この主人公には確かに誰にも負けない力があるんだ。それなのに、彼は自分で自分を敗北者だと決めて、それ以上前へと進もうとしていないんだよ。
その理由が、「兄貴には絶対にかなわないから」なんだけど、客観的に見れば、なぜそんなにお兄さんにこだわる必要があるのか? きみはきみで十分にステキじゃないか・・と思えるのに、それをふと自分に当てはめてみて気づいたことがあるんだ。
「兄にこだわる必要はない」という事実。「兄という名の呪縛」。それは「姉」でも同じなんじゃないか? と、実は生まれて初めて気づいたのだ。
「血の呪縛」というのは、それほどまでに恐ろしいものなんだなあ・・と、つくづく思ったんだよ。
たとえば私は絵を描けないんだけど、なんで描くのをやめたのか・・という理由がただ一つ。「姉が上手かったから」なんだよ。
30代も半ばを過ぎて、人生の半分をもう使い果たしてしまったのに、そんな事実に今頃気づくなんて、遅かったのか? あるいは気づいただけよかったのか。まだ間に合うのか?
そして、こういう「血の呪縛」に捕らわれている人というのは、意外と多いんじゃないかという気がするのだ。その呪縛を解き放ち、運命に立ち向かうためには、自分を信じるしかない!
それに気づかせてくれただけでも、この作品との出会いには感謝したい気分です。つくづく・・。(−−);