星の原休憩所

映画、アニメ、読書など、趣味の感想記録です。

「ザ・ロンリー」 ポール・ギャリコ

3.「ザ・ロンリー」 ポール・ギャリコ 新潮文庫 評価★★★★☆

戦時下でのラブ・ストーリー。しかも、三角関係と言うことで、「超時空要塞マクロス」のイメージがちらちらして仕方がなかったのですが・・・。

いやあ、感動しました。読み始めた最初のうちこそ、何のかんのと理由をつけながら女性を二股にかける主人公のやり方にイライラしていたのですが、これは情けなかった青年が本当の愛を知って大人の男になる成長物語だったんですね。

ついでに、「愛のために全てを捨てられるか?」という強い問いかけも入っていて、突きつけられる物語でした。

「ありのままの自分になり、ひるむことも打ち消すこともせず真実に直面できるようになって、初めて人は大人になるのだ。その真実とは、この世には痛みをともなわない幸せとか挫折感のない勝利といったものは存在しないということだ」p180

この主人公の置かれた立場の重みは、優柔不断な人間なら誰だって共感できることだと思う。単純な恋愛小説という枠を超えて、社会におけるありとあらゆる選択の場で、自分なら同じことが出来るだろうか? という部分で考えさせられました。いい作品でした。

<a href="http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4102168044/seiseikai-22/ref=nosim" target="_blank" class="ausgangsoft">ザ・ロンリー</a>