星の原休憩所

映画、アニメ、読書など、趣味の感想記録です。

「菜の花の沖」第1巻 司馬遼太郎

小説・一般27.「菜の花の沖」第1巻 司馬遼太郎 文春文庫

文春文庫の「菜の花の沖」は全6巻全部、表紙に褌姿の男の絵が描かれていて、見るからに恥ずかしいのだけれど、この話のポイントは、まさに褌にあったと言うことなのか・・・。

昔の日本では、男児が13〜15歳で大人になった証に褌を贈る風習があったらしく、武士で言う元服を庶民では褌祝い(へこいわい)と呼んだらしい。
子どものころは、みんな下に何もつけていないんだけど、大人になったら褌を締める。で、その色も赤と白には違いがあって、ちゃんと意味もあるとか、色々解説してくれた。(^^);

別に褌のことばかり書いてあったわけでもないんだけど、そういう形で事細かに江戸時代の日本の風俗について教えてくれるのは勉強になる。船のこと、港のこと、大阪や兵庫や西宮などの町が、江戸時代に港としてどういう風に発達してきたかを教えてくれるので面白かった。

物語自体は、超ド貧乏の家庭に生まれて、子どものころから口減らしのため、隣村に働きに行って、いじめられたり、さげすまれたり、さんざんな目に遭ってきた男が、自分の力でどんどんのし上がっていく話なので、「貧乏脱出物語」みたいで、なんだか好ましい。

第1巻では、村の連中にさげすまれた子ども時代と、そこから生まれた海への憧れ、やがて船乗りになっていく過程が描かれていきます。まだまだ、現時点では下っ端ですが、これから彼がどんな活躍をするのか、楽しみです。

印象に残ったのは、彼が色々教えてもらった村の漁師かな。素裸で船に乗る人なんだけど、陽根の部分にわらしべを一本結んでいると言うんだ。なんのまじないだろう? と思って、聞いてみると、「これがわしの着物じゃ」と応える。それで主人公は、この老人が大好きになったと言うんだけど、こういうエピソードって、司馬遼太郎の創作でしょうかね? そんな老人の伝承が村に残っているとも思わないんだけど・・・。発想が実に素晴らしいなあ・・・と思った。これが海の男か〜と思って、かっこいいじゃん? 現代に実際いたら、ただの変態じじいですが・・・。(^^);

<a href="http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4167105861/seiseikai-22/ref=nosim" target="_blank" class="ausgangsoft">http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4167105861/seiseikai-22/ref=nosim</a>