星の原休憩所

映画、アニメ、読書など、趣味の感想記録です。

「堪忍箱」 宮部みゆき

小説・一般28.「堪忍箱」 宮部みゆき 新潮文庫

「だれの人生にだって開けちゃいけない箱がある・・・」というのが、帯の文句なのですが、その言葉通り、これは各々の登場人物の持つ「秘密」をテーマにした連作短編集でした。

8編の短編が収録されていますが、正直、最初の4本は今ひとつという評価。読んでいてもあんまりぴんと来なくて、宮部みゆきにしては今回ははずしたかな? と思ったのが正直なところなんだけど・・・。

いいと思ったのは、後半に収録されている4本でしたね。特に「お墓の下まで」と「砂村新田」が泣かせる話でした。

子どものいない老夫婦が、捨て子を拾って育て上げ、仲のいい家族として暮らししていた。それは美談のはずなんだけど、実は彼ら全員が家族のだれにも言えない秘密を抱え持っていたという話。

父親が病に倒れ、母親が生活に窮しているのを見て、奉公に出ることにした少女。働いている彼女に話しかけてきた遊び人風の男は、彼女の母親を知っているという。彼は一体、何者だったのか? ミステリータッチで進めておいて、最後に意外性のあるオチを持ってくるところはさすがに見事。

それぞれの登場人物が抱えている想いを知っている人、知らない人の様々な想いが交錯しているところが感動的にしあがっていくところはさすがに宮部みゆきの筆力だなあ・・と感心させられました。面白かったです。

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