第十章「窓辺」
前回に書き損なったけれど、「覚悟を決めた」のは、あるいは、お父さんだったのかもしれないなあ・・・と思った。ウィリアムは、一転して、仕事に精を出し始めたし、このまま、跡継ぎとしての仕事もこなしながら、みんなに認めてもらえるように頑張るつもりなのか。
そういう話なんだと思って見直してみると、ウィリアムのがんばりが、ちょっと応援したい領域になってきたように思う。最初の方にだめだめぶりを強調して見せた分だけ、一生懸命さが光って見えるというか・・・。
「貴族のお嬢様として、生まれていればねえ」というターシャの嘆きは、頷けるところで、問題はすべてそこにあるんだから。エマさんがウィリアムの妻になれないのは、ただ、その一点のせいだろう。
仕事先の相手にどんどん振られていくウィリアムだけれど、それでも応援してくれる人たちはちゃんといる・・・と言う部分が感動的でした。隣の奥さんのお茶目ぶりはよかった。ドロテア奥様も、なんだか面白がっているみたいだし・・・。
ウィリアムの告白を、隣の家の窓から、みんながそれぞれの場所で聞いている構図が面白かったな。あとは、エマさんの覚悟次第・・・という感じになってきましたけれど、個人的にはハンスも好きなので、彼が振られてしまうのは、ちょっと残念な気もするんだけどね。張り合う男二人の緊張感はよかったです。