星の原休憩所

映画、アニメ、読書など、趣味の感想記録です。

「母をたずねて三千里」第1話

第1話「いかないでおかあさん」

比べちゃ行けないのは分かっているんだけれど、同じく母親を捜す旅をする物語として、「名犬ジョリィ」と比較すると、「三千里」の写実的な描写は実に素晴らしい。漫画っぽいところが全然なくて、アニメと言うより、なんか海外ドラマでも見ている気分だ。

「ハイジ」の時は、まだ子供だましっぽい描写があったんだけれど、「三千里」はそれよりずっと大人向けに洗練されていて、「赤毛のアン」や「火垂るの墓」のリアルさにぐっと近づいたという感じがする。

マルコとトニオの兄弟らしいやりとりや、その中に見せる母親をめぐっての秘密。兄さんの方は、母親が働きに出ることを知っているのに、弟の方は知らない。それでなにげに会話がぎくしゃくするところとか、家族はそれを黙っていて、あえて楽しげに振る舞っているところとか、リアルで良くできてます。

みんなでマルコには秘密にしていたのに、隣のおばちゃんがうっかりしゃべっちゃうところとかも含めてね。また出たよ、麻生美代子〜と思って、ちょっと笑えましたが・・・。(^^);

声優さんでは、曽我部さんの若い声がとてもすてき〜。声だけで、兄ちゃんに萌えるものがあった。すごくかっこいいよ〜。もちろん、マルコの松尾桂子さんのかわいさも特筆すべきところなんでしょうけど・・・。

ラストシーンのお母さんとの別れの部分。別れ際に子供が追いかけて走って転ぶのはお約束としても、この場合、上手いなあ、と思ったのは、もともと段差のある危ない場所をマルコが母親の方だけを見上げて、走り続けるんですね。

お母さんの方しか見ていないから、転んじゃうんだよ。もともと走りにくいところなのに、無理して走っているから。それでも、起き上がって、何度も「お母さん、行かないで」と泣きながら、叫んで、走って追いかけて、そのたびに転ぶ。この演出が見事でしたね。これじゃ、見ているこちらまで「もう、いいの。危ないから、やめて、マルコ」と叫びたくなる。そんなお母さんの叫びも辛かったです。この辺は、思わず、一緒にもらい泣きでした。

さすがに名作と呼ばれただけのことはあります。次回も楽しみです。