星の原休憩所

映画、アニメ、読書など、趣味の感想記録です。

「ポーの一族」第1巻 萩尾望都

コミック38.「ポーの一族」第1巻 萩尾望都 小学館プチコミック

昨日見つけた動画を見ていたら、久しぶりに読みたくなったので再読してみた。「ポーの一族」のコミックスは何種類もあるし、いろいろ持っていたんだけれど、最終的に手元に残したのは、作品集の全4巻バージョン。第1巻には「ポーの一族」「ポーの村」「グレンスミスの日記」「すきとおった銀の髪」「はるかな国の花や小鳥」を収録。

久しぶりに読んだけれど、今の視点で読むとやっぱり一番引っかかるのは「グレンスミスの日記」で、エリザベスの人生に共感する部分が多い。「ああ、花嫁となって海を渡り、私の愛した人の祖国へ・・・」この繰り返されるフレーズに泣けるものがある。

すべてを捨ててイギリスからドイツに渡り、でも戦争が始まって・・・。こうしてみると、「ポー」シリーズが歴史物なんだなあ、というのをしみじみと感じた。百年以上にわたるタイムスケールが半端ないよなあ。父から娘へ、娘から孫娘へ、孫娘から更にその甥っ子に向けて、日記につづられた物語が、語り継がれていく。そのスケール感を24ページの短篇でさらっとまとめてしまう作者の力量に感心します。

あと、昔は苦手だった「はるかな国」のエルゼリの物語にも、少しは共感できたかも知れない。「ああ、本当だ。お城だね」そうこたえたあの人が、世界中で一番好きだったの。それにちょっと涙ぐむものがあったので。