小説・一般20.「虹の谷のアン」 ルーシー・M・モンゴメリ 新潮文庫
アンの子供たちの物語と思いきや、そうでもなく、アンの子供たちと友達になった牧師館の子供たちの繰り広げる微笑ましい珍騒動物語という感じ。アンは、ブライスの小母さんとして子供たちの中に名前が出てくるけど、基本的には物語の後側にいて、子供たちをやさしく見守る存在になったという感じかな。
母親がいなくて、父親がいつもぼんやりとしてばかりいる牧師館の子供たちは、大人に頼らずに野放図に生きているけど、そのせいで、いつも失敗ばかり。ただ、最終的に、大人たちが自分で壊してしまった人間関係を、子供の子供らしい誤解と必死さから、見事に修復してしまう部分に、感動しました。クライマックスで、おとなしいユナがローズマリーに会いに行くくだりは、結構、泣かせます。彼女は、彼女なりに大好きなお父さんのために必死だったんだよね。
個人的には、フェイスと雄鶏のエピソードが印象に残りました。雄鶏のアダムをペットとして愛していた彼女が、アダムが殺され、お客の料理としてテーブルに出され、切り分けられて、食べられるのを黙ってみているしかなかった、その苦痛がよくわかる。
「ネコをかわいがっていれば笑われたりしないのに、どうして雄鶏だと、みんな笑うの?」
虹の谷のアン―赤毛のアン・シリーズ〈9〉 (新潮文庫 モ 4-49)
- 作者: モンゴメリ,村岡花子
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2008/04/24
- メディア: 文庫
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