星の原休憩所

映画、アニメ、読書など、趣味の感想記録です。

富野由悠季監督 「機動戦士ガンダムF91」

映画2.富野由悠季監督 「機動戦士ガンダムF91」(日本・91)

記録を確認したけど、前にこの作品を見たのは、2003年12月ということだから、この作品を見るのは、およそ8年ぶりで3回目ということになる。ことに小説版を踏まえた上で、映画を見るのは初めてだから、どういう風に見えるかな? と思っていたんだけど。

確かに小説版を読んだ上で、この作品を見ると、設定やキャラクターの細かい配置がよくわかって、描写の丁寧さが見えてくる。見えてくるのはいいけど、こんなに細かいんじゃ、初見の人には全然ついて来れないんじゃないかと心配にもなる。設定の大事な部分を、さらっとセリフで流しちゃっているから、聞き逃したら、ついて行けなくなるんじゃないか? わからない人は、ついてこなくていいという演出なんだろうけど、ものすごく展開が早いし、物語はエピソードを徹底的に切ってつなげたを繰り返した、切り貼り状態という感じ。

逆に言えば、富野作品を見て、こんなにストレートにスムーズに話がわかったのって、今回が初めてじゃないだろうか? と言う気さえした。キャラクターの誰が誰で、どういう位置にいるか、あらかじめ、あるていど知っているからね。

それはいいんだけど、映画を見るに当たって、一番気になっていたのは、小説版で一番違和感があったセシリーの里帰りシーンで、実際にフィルムで見てみても、やっぱり違和感は残った形。どうしてこの場面で、ドレルの方にほいほい行くかな? という点で、あとで「いつの間にか、そうなっちゃったのよ」と言い訳をしていたが、シーブック側に戻ってくるシーンも含めて、あっちに行ったり、こっちに行ったりするセシリーの気持ちには、最後までついて行けなかった。

思いの外、シオが悪役に描かれているのが気になったのと、鉄仮面をかぶっているカロッゾの非道さが目について、父親の脆さ、情けなさが、前面に出ているんだなあ。というのは印象に残りました。

あとは戦場の中で逃げまどう市民たちの描写が濃いことで、避難民としてのシーブックたちが強調されていることが印象に残ったというか、戦争が決してかっこいいものではないと、執拗に描写していることは、ちゃんと書いておかなきゃいけない点かな、と思いました。これじゃ、クロスボーン・バンガードに理なんかないと。その点は、やっぱり、「逆シャア」の反省の上で、作られた作品だと、そんな感じがします。

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