小説・一般45.「チェルノブイリの祈り 未来の物語」 スベトラーナ・アレクシエービッチ 岩波現代文庫
チェルノブイリに生きる人々の肉声を集めたドキュメンタリー。いろんな人の話を読むことが出来ます。それぞれ、立場も性別も年齢も違う人々。チェルノブイリ事故を、ただ、「事故があったねえ」程度に捉えるのではなく、そこには、様々な人々が関わっている。いろんな人の生活を変えてしまった。その様子をリアルに追体験できて、貴重な証言集だと思いました。
冒頭に事故処理に当たった消防士の妻の告白があるけれど、もう、それを読むだけで涙ボロボロになってしまった。あと、障害児を持つ母親の悲痛な声。「実験動物にされてもかまわない。この子が死ぬのは嫌。この子に生き延びて欲しい」という言葉と。
娘と孫を疎開させなかった役人の話。自分の家族だけ逃がすわけにはいかないと、妻を叱りつけた。「私が犯罪者だというのなら、私の孫はなぜ・・・。孫は病気なんです」
片っ端から知人に危険を知らせた研究所職員の話。その人々は「ありがとう」と言っただけで、質問もしないし、驚きもしない。
他にもいろんな声がある。今の日本と重なる部分も、多数見受けられるので、興味のある人は、読んでみてください。オススメです。
- 作者: スベトラーナ・アレクシエービッチ,松本妙子
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2011/06/17
- メディア: 文庫
- 購入: 7人 クリック: 57回
- この商品を含むブログ (13件) を見る