星の原休憩所

映画、アニメ、読書など、趣味の感想記録です。

「屍鬼」第1巻 小野不由美

読書42.「屍鬼」第1巻 小野不由美 新潮文庫

11年ぶりに再読。アニメ版は全話見ましたが、コミック版は未読です。

少し前に「アイ・アム・レジェンド」原作本を読んだ勢いで、なんとなく読みたくなった。夫も裁断したがっているし、裁断される前にもういちど読んでみようと。

断片的に覚えている程度だったし、最初のうちこそ、丁寧すぎる村の描写になじめなくて、なかなか読み進められなかったんだけれど、中盤あたりから、どんどん面白くなってきて、後半は、一気読みでした。

とにもかくにも、キャラクターがよい。尾崎先生、かっこいい。若御院のさりげない優しさも好き。ぶっきらぼうな感じの夏野もかっこいい。なにげに言っていることが鋭いのもいい。突き放しているような厳しさも、頷けるところがある。

村の異端者であるところの結城に対して、細々と説明される村の歴史が面白い。さりげなく日本史や民俗学の勉強になるし。

山奥の村でどんどん人が死に始める、それぞれに対する村人の思いが、いちいちリアリティがあるというか、隣人、知人、丁寧に描写されていて、人間って、こういうものだよねえ。と言う部分、非常に強く共感する。

昔読んだときに、自分が一番共感して、なにげに同情していたのは、酒屋の息子だったんだけれど、こういうキャラだったのか。というのを再確認して、溜息ものだった。何が起きても「どうせ、あっちゃんじゃないのかい?」とみんなに言われているという。この立ち位置は、辛いわ・・。

女性キャラだと、すれ違っている恵とかおりの友情描写も巧いと思う。恵はかおりが大嫌いだったけど、かおりの方は、大好きだった。嫌われているなんて、思いもしなかっただろうと。

そういったもろもろのキャラを飲み込んで、これから物語がどう展開するのか、結末は知っているはずだが、かなり忘れているので、新鮮な気持ちで読んでます。とにかく、非常に面白い。続きもすごく楽しみです。

屍鬼〈1〉 (新潮文庫)

屍鬼〈1〉 (新潮文庫)