星の原休憩所

映画、アニメ、読書など、趣味の感想記録です。

杉井ギサブロー監督 「グスコーブドリの伝記」

映画2.杉井ギサブロー監督 「グスコーブドリの伝記」(日本・2012)

原作はもちろん既読です。宮沢賢治なら、有名な作品は、詩も含めて一通り読んでいると思います。

で、思っていたよりは、原作に忠実なんだなあ? と感じました。いや、もっともっと崩していると思っていたんだけど。実際に、いろいろファンタジー混じって、オリジナル描写も多いんだけれど。

基本的な流れは、ちゃんと原作通りというか、冷害で両親を失ったところから始まって、農家の手伝いをして、大学でクーボー博士に会い、火山の研究所に入って、ちゃんとラストシーンでは、火山の噴火を起こさせるために、犠牲になって死んでいったし。いや、なんか、その辺、ストーリーをもっと改変しているんじゃないかと思いこんでいた。

合間に入る夢のシーンがアニメオリジナルだと思います。ネリを連れ去った人さらいが、死の国からの使者に見えるあたり。夢が、生死を分ける境界のような役割をしているところが、ファンタジー表現として面白いなあ。と思いました。

冒頭の森のシーンから始まって、とにかく背景描写がすごくきれい。イメージ世界が美しい。都会に出てくると、飛行船が空を走っている。道路に車が見えなくて、移動がみんな空中というイメージは、なんかいいなあ。と思いました。

町から町へは、電車で移動するみたいだけど。農作業以外に車が見えなかったから。それがなんか新鮮に見えました。あるいは、大正期に未来を想定すると、そんな感じになるんでしょうか? 電車と飛行船だけの世界。

きれいな映画を見たと思いました。思いの外、よかったです。