星の原休憩所

映画、アニメ、読書など、趣味の感想記録です。

「屍鬼」第4巻 小野不由美 

読書7.「屍鬼」第4巻 小野不由美 新潮文庫

夏からどれだけの人が死んだか。葬式が続き、不審な転居者が続き、明らかに村に異常が起こっているというのに、それを認めようとしない住人たち。真実を突き止めたものを笑い、話を聞こうともしない。これが人間というものか・・・と思うと、溜息が出るけど、救いがあったと言えるのは、武藤家の両親だろうと思う。

「親っていうのは、そういう生き物なのさ。子どもに対しちゃあね。危ないものは持たせなくないし、危ないところには行かせたくない。どんな些細な危険からも遠ざけておかないと安心してられないんだ」

「だから、お前たち二人で生活してごらん。人間、先々何があるかわからないもんだし、今のうちに一人でも生活できるよう、練習をしてみなさい」

身勝手で醜い人間の姿ばかり見せられた中で、このお父さんのセリフは、なかなか感動的だった。そうやって、自分の子どもたちだけは安全なところに逃がした。それが出来ない親が多いから、犠牲になる子どもたちがいる。昭は特に、かわいそうだった・・・。

屍鬼〈4〉 (新潮文庫)

屍鬼〈4〉 (新潮文庫)