「ただならぬことが起こっている。その全てを完全に止めることはともかく、その加速を僅かでもゆるめること、起こっていることを出来るだけ正確に把握しようと努力することは出来る。巻き込まれつつ、観察する。
コースを違えた事による幸運も悲劇も、伝えるものがあれば後進の者にとっては有益な情報だ。自分の中に記録すること、機会に恵まれれば、それを伝えること、それが生物の個体としての自然な本能なのだろう。
結果的に無駄になったとしても、それは個体のあずかり知らぬ領域のことだ。最後まで見つめ続ける。その姿勢は少なくとも間違ってはいないと、脳の奥深く埋め込まれた方向探知機が私に囁く」
印象に残ったセリフを、あえてメモ。
- 作者: 梨木香歩
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2013/02/28
- メディア: 文庫
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