読書28.「華氏451度」 レイ・ブラッドベリ ハヤカワ文庫
「そうだ! おれたちは、きょうからでも、歩き出すことにしよう。そして、世の中を見、社会のうごきと、社会の語ることを知り、それがどのような現象を示すか、事実を知らねばならぬ」
昔、手塚治虫が死んだ時に「想いを伝えていくバトン」というテーマで追悼文を書いたんだけれど、その文章の元ネタは、萩尾望都の「アメリカン・パイ」の中のセリフだった。「人が死んで消えても、想いだけは残るのだ」という部分だけれど、萩尾先生が、このセリフを思いついた元ネタは、あるいは、この作品にあったのか〜と、初めて気づいた。
ブラッドベリはまた、その言葉をどこで知ったのだろう? 登場人物の老人が、「わしの祖父は、素晴らしい人だった」と祖父から伝わったこととして主人公に伝えているが、ブラッドベリにもそんな祖父がいたのだろうか、あるいは、誰かからそんな話を聞いたのか・・・。
そんな想いを集積してこの本が書かれ、読者の分だけ想いが拡散していったのだとしたら、まさに想いのバトンリレーだったのだな。と思う。
いつか本が朽ち果てて消えても、読んだ人の分だけ、メッセージが残る。その想いが、また誰かの言葉になって復活する。不死鳥のように蘇る。そのイメージがとてもすてきで、いい作品でした。感動しました。よかったです。
- 作者: レイブラッドベリ,Ray Bradbury,宇野利泰
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2008/11
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- 作者: 萩尾望都
- 出版社/メーカー: 秋田書店
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