2巻目のラストから11年後という設定の続編。もともとは全2巻だったという事で、その後の話を考える予定はなかったと言うけど、確かに、前作で終わっていた物語の続きとしては、前に言っていたことを全部ひっくり返しちゃったなあ。という感じがする。
シュナンとセィミヤが結ばれれば、この国は平和になるのかと思いきや、そうでもなく、王獣を決して武器としては使わないという真王の約束も反故にされて、他国からの侵略が迫っているいま、エリンの立場は微妙になっている。
王獣を扱えるのはエリンしかいないわけで、強大な力を持っているが故に、敵味方双方からねらわれて、本人は戦いたくないと言っているのに、そういうわけにもいかず、力があるのなら貸してくれと、協力してくれ、と言われて、断ることもできず、追い詰められていく感じが切実で・・・。
もうどこにも逃げ場がないのなら、と覚悟を決めたところが、印象に残りました。自分のやれることは全部やりますと。できうる限り、協力をすると。
過去に起こったことが秘密にされ、歴史がゆがめられているから、対処の仕方がわからない。隠せばいいと言うものでもないんだと、物語が主張しているところがいいな、と思った。それは、「精霊の守り人」のテーマとも通じるものがあるんだけどね。
隠されている真相があるのなら、それを知りたいと思うのが人間で、どんな破滅が来るのかわからないけど、それに怯える前に、やるべきことがあるだろうと、その決意がかっこよかった。
- 作者: 上橋菜穂子
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2012/08/10
- メディア: 文庫
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