映画27.クリス・ウェッジ監督 「メアリーと秘密の王国」(アメリカ・2013)
「お前のお母さんに、わかってもらいたかったんだ・・・」
これは、父親と娘の物語。森には、小さな人たちがいる。父親は、森に住み、その証拠を見つけることに、夢中になっている。どうやら、母親は、夫のそんな姿に愛想を尽かしたか、ケンカしたかで、娘を連れて、出て行ってしまい、そのまま、亡くなったらしい。
母親を亡くした娘が、変わり者の父親のもとを尋ねてくるけど、父親は、研究に夢中で相手にしてくれなくて・・・。
両者の抱える孤独と、それが癒されるラストシーンが素晴らしい。
小さな人たちと、人間との間には、時間差があって、素早く動く小人から見ると、人間はスローモーションで動いているように見える。この設定って、「コロボックル」じゃん? と思うのだが、それをアニメできちんと表現した点では、新しいと思った。
さとうさとるの「コロボックル物語」だと、小人の秘密を知っている背高さんは、決して孤独ではなく、最良の理解者である奥さんに恵まれ、家族ぐるみでコロボックルの味方になっていったが、この作品はそれをひっくり返し、「普通は理解されないよねえ」という点を、強く打ち出したところが気に入っている。
小さくなってしまった主人公の、リーフマンたちとの冒険は楽しくて、息をつかせぬ面白さで見入ってしまったけど、その後側に、そう言う家族の齟齬が描かれているところがよかったと思う。