読書50.「岸辺の旅」 湯本香樹実 文春文庫
「俺の体は、とうに海の底で蟹に喰われてしまったんだよ」3年前に失踪した夫を捜し続けていた妻の元に、彼が帰ってきて、そう言う。死んでしまった人が、当たり前のようにそこにいて、二人で旅をする物語。夢と現実が入り交じったような旅の記録は、なんだか「銀河鉄道の夜」を思い出した。
その旅路が、リアルな日本の風景として描かれていて、この世には本当に死者が生者の振りをして、町を歩いているのかも知れないなあ。と思わされる。そうであっても、気づかない。こういう不可思議な世界観は、とても好きです。
- 作者: 湯本香樹実
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2012/08/03
- メディア: 文庫
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