星の原休憩所

映画、アニメ、読書など、趣味の感想記録です。

富野喜幸監督 「The IDEON 接触篇 A CONTACT」

映画22.富野喜幸監督 「The IDEON 接触篇 A CONTACT」 (日本・1982)

視聴は3度目。初回は、劇場に観に行ったけど、そんなに感銘を受けなかった記憶が残っていて、改めて見て、「接触篇」のまとめ方の難しさに気づく。

テレビシリーズ37話までの内容を無理矢理つないでまとめてあって、新作カットを入れたり、微妙に設定を変えたりして、物語を破綻なく進めているんだけれど、その分、失われたのは、キャラの個性で、きつい性格をしていた連中が、みんな普通になっている。

好戦的な台詞がないカーシャ。嫌みを言わないシェリルとコスモ。偉ぶった振る舞いがなく、あくまで気高くしとやかなカララ。テレビ版であれだけエキセントリックだったものを、普通にしちゃうと、返って、なんでイデが彼らを滅ぼさなきゃならないのかわからなくなるよね。短く縮めたから仕方がないんだけれど、テレビ版の醍醐味は、人間とはエゴの固まりだってことで、そこを消してしまうと、「滅ぼさなければならないほどの人間の業」というテーマが見えづらくなる。その上で、物語の設定説明に終始しているから、説明台詞だらけになっちゃって、ものすごく会話がくどい。

この物語は、劇場版なら4部構成ぐらいにしないと、描ききれなかったんじゃないか? という感じがして、もったいないなあ。と思う。