星の原休憩所

映画、アニメ、読書など、趣味の感想記録です。

沖浦啓之監督「ももへの手紙」

映画5.沖浦啓之監督「ももへの手紙」(日本・2012)

・・・なんていうのか。なんだか気の毒になってくるぐらい、日本のアニメーション映画というのは、ジブリにこびなきゃいけないのか〜と、思って。ひどいなんじゃこりゃ映画になっている。

となりのトトロ」+「魔女の宅急便」+「千と千尋の神隠し」みたいな感じだけど、何が一番問題と言って、主人公の女の子がかわいくない。「とんでもない性悪女だぜ」みたいな台詞が、途中に挟まっているが、私もそう思うよ。

現実的じゃないくらいかわいすぎるのもどうかと思うが、現実的じゃないぐらいかわいくなさ過ぎるのもどうかと思う。自分勝手でわがままなところばかり強調されていて、けなげさなんてかけらもない。最初から最後までこいつのせいでみんなが迷惑しているんじゃないか。

ストーリーがまとまっている分だけ、「思い出のマーニー」よりはましだな・・・と思ったが、それでもつっこみを入れればきりがないというか、台風の日に、通行禁止の橋をバイクでわたらせて、郵便局のおじさんまで事故で死んだら、それこそ、主人公のせいじゃないか?

最初のうち、性格の悪い主人公が、途中で反省して、いい子になる・・・という王道のストーリーならまだわかるけど、そうでもないよね。最初から最後までこの女の子には感情移入できなかったし、お母さんとの交流にしてもそうだ。

なんか島中を引っかき回して、迷惑をかけたあげく、何事もなかったかのようにスルーして、それでいいのかな・・・と思う。

これでいて、物語だけは、どこかきれい事になっているから、なんかそういう偽善っぽいのがすごく嫌だ。

霊界から手紙が届いてたまるか! という、なんか怒りに満ちた気分で見終えた。

しかし、こういう映画を作ってください。と言う注文しか来なくなっているのなら、それはそれで問題じゃないかという気がする。最近のオリジナル企画のアニメ映画というと、なんだかみんなどこかでジブリ作品を意識しているようで、新しい感じがしない。結局は同人誌だと、そう揶揄されても仕方ないんじゃないかと、そんな気もする。