星の原休憩所

映画、アニメ、読書など、趣味の感想記録です。

「若草物語」 L・M・オルコット

読書15.「若草物語」 L・M・オルコット 角川文庫

少し前に「赤毛のアン」シリーズを読破したから、次は「若草物語」を読破しようと買っておいた本。シリーズ1作目は、子どもの頃に大好きで、何回も読み直した記憶がある。

改めて、読んでみたら、こんなに教訓的な物語だったのかと初めて気づいた。そもそも、物語は、「贈り物のないクリスマスなんてクリスマスじゃないわ」「貧乏って嫌ね」と姉妹が愚痴るところから始まるのだが、自分たちの小遣いで、贈り物はお母様にしようということになるし、クリスマスの食事は、自分たちよりも貧しい暮らしをしている近所の人に持って行く。そんな彼らの姿を隣に住む金持ちの老人が気に入り、一家にごちそうをプレゼントする。そんなエピソードから始まる。

自分のことばかり考えるよりも、他人のために尽くしましょう。そうすれば、そういう姿を見ていてくれる人はいるものですよ。冒頭からそんな感じだし、章ごとに、姉妹はいろんな経験をして、失敗しながら学び、お母様から聖書の言葉を聞いたり、体験談を聞かされたりして、成長していく、そういう物語になっている。

だからこそ、子どもに読ませたい文学として小学校の図書室に並んでいるんだろうなあ。とも思うのだが、これらの教訓をかみしめるのは、実は大人になってからの方じゃないかと思った。改めて読み直したら、一つ一つの言葉が結構、胸を打つんだ。

特に原稿を燃やされて怒りに我を忘れたジョーが、結果として危うく妹を失うところだったと泣いているときに、母親が慰める。「お母様は怒ったことなんかないじゃありませんか?」というジョーに、母親は自分もかんしゃく持ちだったことを話し、怒りの感情を抑えることを学んだのだと説明する。そういう言葉が出そうになっても、口をきゅっと結んで何も言わない。我慢できなければ、そっと席を外して、押さえられない自分を反省するのだと。それができるようになるまで40年もかかったと言って笑う。

実際、このお母さんが怒りをこらえている姿は、その後の描写にもさりげなく出てくる。

いろんなエピソードが出てくるけど、そういうひとつひとつから、今は学びたいと思った。

若草物語 (角川文庫)

若草物語 (角川文庫)