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星の原休憩所

映画、アニメ、読書など、趣味の感想記録です。

片渕須直監督 「この世界の片隅に」

映画

映画24.片渕須直監督 「この世界の片隅に」 (日本・2016)

原作は未読。とてもきれいなアニメーションで、物語の内容も深く、感動させられました。これは、素晴らしかったです。見ないともったいない類の映画だと思う。

広島と呉が舞台であるから、戦争ものなんだろうなあ。と思って、映画館に行ったけど、戦争の描写は、かなりあとになるまで出てこない。どちらかと言えば、昭和初期の人々の日常を淡々と描いていく。ちょっとのんびりしている、どこかおっとり系の少女の成長。彼女の声を当てた女優さんの演技が非常に良くて、いい味になってます。彼女の声は、この人でなきゃ、全然、印象が変わってきただろうな、と思う。絶妙。

どこまで昭和初期の日常に忠実なのかは知らないけど、よくできてました。細々とした日常のあれこれ、生活ぶりを、ここまで丁寧に描いているのは、記録物としての価値もあるんじゃないかと思う。戦後に育った私らでは、モノのない時代に、上の世代がどれだけ、いろいろ工夫して、物を大事にしていたのか知らないし、電気製品が発達していない頃は、どうやって衣食住を賄っていたのか、そういうのを見るだけでも参考になる。

物語は、次第に戦争に突入していくんだけれど、爆撃の様子とか生々しいし、こういうのも、ちゃんと記録として、知っておいたほうがいいよね。時限爆弾とか、不発弾とか、一見、安全に見えても、いきなり爆発することだってあるんだと。主人公は、呉にいたから、直接的には広島の原爆の被害にはあわなかったわけだけれど、光と地震、遅れてくる爆風というのが、呉にいて、体験する原爆描写となっているあたり、生々しくて、わかりやすかったです。

アニメーションとして、良かった部分としては、主人公の描いている絵が、さりげなく動いたこととか、日常の風景だと思っていたものが、いつの間にか、額縁風に切り取られて、狂気っぽく歪んでいくとか、そういう描写が入っていること。

色彩感覚も、非常にきれいで、こういう淡い色使い、好きだなあ。と思いました。さり気なく入ってくる音楽もいいし。

とにかく、全体的に満足。いい映画でした。良かったです。