星の原休憩所

映画、アニメ、読書など、趣味の感想記録です。

湯浅政明監督 「夜明け告げるルーのうた」

映画25.湯浅政明監督 「夜明け告げるルーのうた」 (日本・2017)

正直、期待しすぎた分、大きく外した感じ。なんかこう、まとまりが悪い。やりたいことはわかるようなわからないような、という感じで、主人公を含むキャラの誰にも感情移入できないし、色んな部分がご都合主義でごまかされているように感じる。そもそも、主人公がいじけている理由とか、何をやりたかったのか、よくわからない。

いきなり現れたルーが、なぜ、主人公を気に入ったのかも謎なんだけれど、こういう話の場合、捕まったルーが見世物にされそうになったために、人魚たちの怒りに触れて、大津波が起こったと考えるのが筋なんだろうけど、微妙にそうじゃないよね。

私がご都合主義だと感じるのは、人魚たちはみんないい人、的なまとめ方で、だれも悪くないよ? みたいな展開になっていることで、世の中、そんなに甘くないだろうと突っ込みたくなってくるんだ。

子供であるルーが、人間と仲良くしたいと思っていても違和感はないけど、他の人魚たちまでそう思っているとは限らないし、せっかく出てきた父親を、かわいく見える害のない化物にしてあるのはどうかな? と思う。

人魚たちが自然の代表であるなら、もっと無慈悲で残酷な、容赦ない生き物でいいんじゃないかと思うし、そういうふうに描いてこそ、それでも人間を助けたいと思う人魚もいるという部分が生きてくるんじゃないのかと思う。

みんないい人で悪い人なんかどこにもいないよ? みたいな展開は、子供向けというよりも子供だましだし、私はあんまり好きじゃない。

いいと思ったのは、キューブ型に切り取られる水の描写だけだな。と思う。そのアイディアだけは、なんか素敵だな、と思いました。