読書14.「蝿の王」 ウィリアム・ゴールディング 新潮文庫
ジャックはリーダーになりたかった。うまくやれる自信も持ってた。なのに、みんなが選挙で選んだのはラーフだった。それが気に食わない。なんで、あんな奴が・・・。
一方で、ラーフは、あんまり深く考えることの出来ない少年で、ジャックの評価通り、そんなに大した器ではないんだと思う。ただ、みんなに持ち上げられたから、僕がやってもいいよ。的な。
そんな二人の対立が、決定的な破局になる。お互いの考え方の違いから、足の引っ張りあいになって、互いに相手が言うことを聞かないと言って、揉める。
まともな意見を持っている人間に限って、おどおどした口調でしかしゃべれない。からかわれ、バカにされ、相手にされない。
リーダーをやりたいなら、そういう言葉を持っている人間をもっと大事に扱うべきだと思うんだが、二人の少年は、どっちもそれが出来ない。
これが人間の正体だと、物語が教えてくれる。なぜ、うまくいかないのか。
「なぜ僕が、あんな奴の言うことを聞かなきゃいけないんだ!!」 一言でまとめるなら、指導権を取りたい人間が二人いちゃ駄目って話。