星の原休憩所

映画、アニメ、読書など、趣味の感想記録です。

「舟を編む」第3話

第3話「恋」

主人公が歩いている町が、やっぱり、神田古本屋街に見えるし、ヒロインの勤め先として湯島という地名も出てきたので、舞台となっている場所はあのへんに間違いなさそう。モデルになっているアパートや出版社が実在するのかは知らないが、このあたりを迂闊にぐぐるとネタバレに触れそうなので、これ以上は調べたくない。

改めて、西岡さんがいい人だなあ。と思った。彼にとっては、辞書編集部なんて退屈な仕事、島流しにあったみたいなものだろうし、そんな場所でなにげに彼よりも同僚や先輩に気に入られた馬締さんが、あの性格なら、「なんでこんなやつが」「こんなやつばかりが贔屓にされて」と、だんだん鬱屈が溜まって暗黒面に落ちていきそうなものなんだけれど、どうやら、そんな風には考えないみたいだから。

逆に、「変なやつだけど、こいつと一緒に仕事して、楽しかったな」とニヤニヤしているなんて、随分、理解のある同僚じゃないですか。すごいな、マジ、ありえないだろう。という感じがする。

これって、コミュ障主人公にとっての楽園世界みたいなものなんだなあ。と思った。理解のある同僚や上司に恵まれて、やりがいのある仕事も任せられて。そのへんは、「銀の匙」や「おお振り」なんかと同じで、現実にはありえないぐらいの理想郷を描いているんだな、と思った。フィクションでしか描けない世界。