星の原休憩所

映画、アニメ、読書など、趣味の感想記録です。

「雪と珊瑚と」  梨木香歩

読書2.「雪と珊瑚と」  梨木香歩 角川文庫

新生児を抱えたシングルマザーが、「赤ちゃん、預かります」の張り紙を見つけて、そこから始まる奮闘記というか、自力でカフェを始めていく物語で、この手の物語を見て感じる、「そんなにうまくいくわけないよね」「こんなに都合よく、いい人ばかり現れるわけない」という感想は当然出てくるものの、自然野菜を使った料理の作り方、そういう野菜の育て方、山菜の植生などの説明は、この作家の得意分野だと思うし、仮に、こういうカフェを作るとしたら、どういう手順が必要なのか、どういう課題が出てくるのかという、シミュレーションにはなっていると思う。

あと、この主人公自身が、育児放棄の被害者であり、虐待されていた子供だというテーマが入って、母親と娘の物語としても読めるということがポイントか。

主人公が、保証人を選ぶ際に、誰に頭を下げるかという、プライドの問題。人が、施すとき、施される時に感じる、それをどうクリアしていくかというテーマも、結構、こちらの実感として読めたと思う。