星の原休憩所

映画、アニメ、読書など、趣味の感想記録です。

「北風のうしろの国」 ジョージ・マクドナルド

読書27.「北風のうしろの国」 ジョージ・マクドナルド ハヤカワ文庫

子供のころ以来の再読。子供のとき読んだ本は、子供向けの簡略版だったので、今度の本は、完全版だろう。と思う。昔、読んだ時は、こんなに長い本ではなかった気がするし、途中に挟まれる「日光姫」みたいな物語には覚えがない。その分だけ、読みごたえがあって、ずいぶん楽しめた。

子供のころの記憶でも、主人公のダイヤモンド少年が、北風と一緒に冒険するイメージは、非常に美しく、風に抱かれて空を飛び、小川に沿って飛びながら、流れる川の歌声を聞き、町に入り込んで、いろんな人々の生活をのぞくのは面白かった。

大人になって読み返してみると、ダイヤモンドがあまりにもいい子で、泣きそうですよ。一家の貧しい生活のために、病気の父親の代わりに御者をやって、生活費を稼いでみたり、お母さんのために赤ちゃんの子守を進んで引き受けたり、隣の家の父親がのんだくれで喧嘩をしていれば、さりげなく入って行って、隣の家の赤ちゃんまで泣き止ませたりしてさ。思わず、怠け者の自分が恥ずかしくなるぐらいのいい子だ。

それほどまでにいい子だからこそ、北風のうしろの国に、行く資格があるのかもしれないなあ。と思った。「神さまの申し子」と呼ばれるのも無理はない。