星の原休憩所

映画、アニメ、読書など、趣味の感想記録です。

「ルルとミミ」 萩尾望都

コミック5.「ルルとミミ」 萩尾望都 小学館文庫

「一度きりの大泉の話」を読んだ勢い、70年代の萩尾望都漫画を読みたくなって、再読してみた。萩尾先生の過去話を読んで、ようやく納得したのは、前から疑問だったんだけど、デビュー作の「ルルとミミ」を含む初期の数作と時期を同じくして発表されている「モードリン」系の作品があまりに毛色が違うから。ずいぶん、いきなり絵も話も変わったんだなあ。と思っていたけど、萩尾先生も新人の頃は、掲載雑誌の「なかよし」に合わせて、無理やり子供向けにコメディタッチの物語をひねり出していたんだなあ。とわかった。

そういう無理した作品ではなく、習作時代から描いていたという「モードリン」「かわいそうなママ」などの作品は、講談社に持ち込んでも「ビアンカ」以外ボツになり、竹宮恵子の紹介してくれた小学館の編集者によって「少女コミック」でようやく日の目を見たわけで。

萩尾望都の作品がボツになった現実を見ると、作家を生かすも殺すも編集者次第というか、出版社といい縁があるかどうかが大事というのはわかる。