星の原休憩所

映画、アニメ、読書など、趣味の感想記録です。

「聖戦記エルナサーガ?」「アダ戦記」第1巻 堤抄子

■「聖戦記エルナサーガ?」第1巻 堤抄子 エニックスGファンタジーコミックス
■「アダ戦記」第1巻 堤抄子 一賽舎ゼロサムコミックス

実に面白かったです♪ 両方とも絶対オススメ!! 是非とも読んでください!

まずは、「エルサガ?」ですが、「エルナサーガ」の世界観を生かしつつ、見事に現代風のファンタジーに仕上げましたね。この世界は異世界ではあるけど、たぶん、もっと我々の生きている現代社会に近く、現代に生きる等身大の女の子が戦っていくストーリーに作り直したんだと思います。

とっさに連想したのが「最終兵器彼女」なんですが、「サイカノ」のちせは悪く言えばちょっと人間離れした少女で、個人的にはあんまり思い入れができなかったんですよ。設定もあまりに破天荒なものだったし。
その点、この作品ではふつうの女子高生として生活していた女の子の中に、実はとんでもない能力が眠っていて、それが解放されてしまうというもの。
彼女の彼氏は無力な大学生に過ぎず、彼女をうまく守ってやることができない。その彼の自分の無力さを嘆く姿と、自分に力があるならがんばりたいとするけなげな少女の必死な姿が、なかなか感動的です。

それにしても、前作ではちらっとしか出てこなかった雷精ソーロッドが、こんなにいい役回りになるとは思いませんでしたわ〜。そういうところも前作ファンへのサービスとして素直に嬉しいです♪
「エルサガ」の1と2はそれぞれ独立した作品なので、興味のある方はどちらでもいいので読んでみてください。

さて、「アダ戦記」。
「エルサガ?」に大喜びしたあとで、その勢いで読んでみたら、「エルサガ?」以上の凄さで、うひゃあ。

「叙事的ではなく、観念性、象徴性の高いファンタジーを描いてみたいと思っていました」との作者の言葉通りです。各キャラクターの語る言葉の一つ一つに重みがあります。特にアダと賢者のやりとり。無邪気な言葉で賢者の欺瞞を暴いてしまったその会話の闇の部分にはぞっとさせられました。
「まず、ひとつ、殺してはならぬ」という言葉から始まる、その会話の全貌。

一見、ファンタジーなのに、SF的要素がたくさん入っているというのも美味しいです。(これは「エルナサーガ」も同様)本当は、この作家には是非ともSF作品を描いて欲しかったです。

堤先生を選んだ私の目に狂いはなかった。両作品とも続きが楽しみです!