第17話「カガリ再び」
ブラックキラ強し!! サイをひとひねりしてしまうけど、階段の上から地べたにへたり込んでいるサイを見下ろしている構図がいいですねえ。彼らの力関係、位置関係を如実に表しているようで。
キラの友人たちの優柔不断さが露骨に現れて、「やっぱり軍に志願なんかするんじゃなかった」と言い出してきたけど、あの子たちは、本当に現代の若者そのものですね。状況に流されてふらふらふらふらしている。
最初は脚本がいい加減なのかと思ったけど、これは逆ですね。制作者側は、あえて、そういった彼らのいい加減さを強調して描いていると見るべきでしょう。
一人が「こうすべきなんじゃないの」と言い出せば、あっさり「そうだそうだ」「僕もそう思うよ」と従っちゃう。で、やったかと思えば「やっぱりそれって間違いだったんじゃない?」とうじうじうじうじするという。
それはキラも同様で、そもそも彼は軍に入りたくはなかった。戦いたくなんかなかった。その自分の気持ちより、みんなに「じゃあ、キラはシャトルに乗って帰れよ」と言われて、見捨てられちゃうことの方が怖くて軍に残った。自分の居場所が欲しくて仕方がないから、「友達を守らなきゃならないから」という理由付けをしながら戦っている。
一方で、それほどまでして守ろうとしている友人たちは、実はキラのことなんか「コーディネーターなんて気持ち悪いよなあ・・」程度に内心では思っている。でも自分が差別主義者だと思われたくないから、みんなで「友達だよなあ」「うん、友達だから」という顔だけしているという。
フレイというキャラの役割とは、彼らのその欺瞞に満ちた友情関係を引っかき回して暴くことにある。その手始めがサイというわけだ。
友人たちの中でもっともキラよりだったサイとの間の友情にひびが入ってしまった以上、彼ら6人の関係の崩壊は目前だ。そうして、必死に守ろうとしていたかりそめの友情が失われてしまったとき、キラを救う役割りを果たすのがカガリなのだろうと思う。