星の原休憩所

映画、アニメ、読書など、趣味の感想記録です。

「十二国記」第三十五話「風の万里黎明の空十二章」

祥瓊と鈴が邂逅。今までのエピソードがようやく一つにつながった感じです。
「苦しいことに耐えて、我慢しているだけなのは、不幸に酔いしれているのと同じ」「苦しいなら変える努力をしなければダメだ」それが鈴のエピソード。
「無知であることは言い訳にならない」「それに気づき、自覚した上で、自分のなすべきことを考えろ」それが祥瓊のエピソード。

その二つが、これから乱を起こそうとする人々の物語とつながっていく。

16歳の少女二人が、同じ年頃だと言うだけで気を許し、「あなたはどこからきたの?」とあっさりとうち解けて互いのことを語っていく描写は的確だ。その年代の女の子同士がおしゃべりなのは古今東西同じだと思えるから。それを影で見ていた労が厳しくたしなめるのもいい。「お互いのことを気安く話すな!」と。そういう形でしっかりした大人が出てくるのは、気持ちがいい。

惜しむらくは、ラストシーン。これまで陽子をさんざん疑っていた人々が、あっさりと指輪を見せて陽子を仲間に加えるのはどうかねえ? そんなに簡単に信用していいの? もう少し陽子を信用するにいたるエピソードが必要ではないだろうか? 特にみんなで一斉に指輪を見せる描写はさすがに変だと思ったよ。
それと、陽子にしてもあんなに好戦的な目で「(この刀は仙を)斬れる」とばかりににやりとしなくったってよかったんじゃないだろうか? 演出としてはわからなくもないけれど、どうにも殺すことを楽しんでいるみたいで恐ろしい。妖魔を斬るのとはわけが違うんだから、もう少し慎重に描いて欲しかったものだ。

もう一つわからなかったのは、「柴望って誰だっけ?」という点。登場人物が多すぎてダメだなあ。前にも出ていたのか、初登場なのかも見当がつかない。困ったもんです。
最近のお姉さんはすっかり解説係ですが、そういう人がいないと説明しきれないと言うのも難しい問題ですねえ。(^^);