星の原休憩所

映画、アニメ、読書など、趣味の感想記録です。

「藍より青し」第3巻 文月晃

■「藍より青し」第3巻 文月晃 白泉社JETSコミックス

「降誕祭」のエピソードは、アニメでは13話「星祭り」に描かれているけど、彼女へのプレゼントのためにバイトしてすれ違いになる展開はお約束過ぎてありがちだと思ったけど、これはそのまま原作通りなんですね。

マンガ原作をアニメ化してエピソードとして盛り上げる場合の難しさを感じます。
アニメを見たときは、薫くんが苦労するエピソードをずっと見たあとで、いきなり、実はあの服を買ったのは葵ちゃんだった・・というオチがつくのは、そこに至るまでの葵ちゃん側の伏線がなさ過ぎて変だと思ったんだけど、マンガで読むとそんなに違和感がないんですね。
マンガの場合は、パラパラ頁をめくりながら数分間で読み飛ばしてしまう内容だから、薫くんにも葵ちゃんにもそれほど感情移入する間もなく、「なるほど、そういうオチかあ・・そこそこ感動的じゃないか?」と思えるけど、25分間のドラマとして時間をかけてまとめるには内容があまりに薄っぺらいと思う。
原作にないエピソードを入れてもいいから、葵ちゃんが服を買った瞬間や買おうと思った気持ちをもっと描くべきだったような気がするけど、それを入れちゃうと、原作のストーリーからかけ離れてしまうし、難しいところですね。

あと15話の「胸懐」だけど、おばあさまの着物のエピソードと二人が昔のアパートへ行くエピソードが全然絡んでいないじゃないか? と思っていたんだけど、これは原作でもつながりがなく、別々の話数なんですね。ただ単にその次の回だった・・というだけで。

正直、原作を読んでみてもこのおばあさまの言う「着物の思いを羽織る」という感覚が理解できません。昔の人は、着物を親から子へと受け継いだから、そうして思いも受け継がれていく・・と言いたかったんだろうけど、
この場合、「愛する人への思いが染み渡っているから、この着物を着ると幸せになれる」というよりも、むしろ「呪いの着物」として「恋する一念で狂い死んだ女の怨念」の方が染みつきやすい気がして、考えると空恐ろしいです。
むしろ、着物を着るのが怖くなっちゃったよ。ひえええ。(><)