星の原休憩所

映画、アニメ、読書など、趣味の感想記録です。

「だから僕は・・・」 富野由悠季

■「だから僕は・・・」 富野由悠季 角川スニーカー文庫

少し前にうちのダンナが大まじめな調子で
「俺は、富野に会ったら、やってもらいたいことがあるんだ・・」と言った。それで
「何をして欲しいの?」と聞いたところ、
「「ぼくを殴ってください! お願いします!」と頭を下げて頼んでみたい」と言うんだわ。

・・すいません。そのときは大笑いしちゃいました。男の人って変な風に考えるんだなあって思ったので。(^^);

しかし・・。この本を読んだら、そんな彼の気持ちが少しなりとわかるような気がした。と言うより、この本を読んだら、もう笑えないよ。笑うところじゃないよ。・・と言う方が正しい。

富野氏のエッセイというと、少し前に「ターンエーの癒し」という本を読んだけど、それは全然感銘を受けなかった。「ふーん」程度。(今、読み直したら、少しは違う感想をもてるかもしれないけど)

しかし、この本に書かれていることは、それよりはるかにこちらの胸を打った。若き日の富野ががむしゃらにアニメの道を突き進んだエネルギーが、この本の中に満ちているから。しかも、この本を書いた頃の富野氏は、私よりほんの数歳、年上なだけなのだ。

自分と同世代の人間にこれだけのことができた、やって見せたんだ、しかもさらに先に進もうとしている・・そういう文章を読んでしまうと、自分の矮小さとともに、自分もやらなきゃと言う励みがうまれる。

富野に殴られたい人は、この本を読め! 今は、そう言いたい気持ちです。