星の原休憩所

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「羊のうた」第7巻 冬目景 (ネタバレ注意!)

■「羊のうた」第7巻 冬目景 幻冬舎バーズコミックス

ネタバレ注意!
<FONT color=white>・・結局、主人公は姉とともに死ぬことを選んでしまった。最終シーンで、記憶喪失として肉体こそ死ななかった彼が描かれているけど、記憶を失ったと言うことは、物語中で読者がずっと追いかけてきた彼はもういなくなった・・ということだ。登場人物たちは、誰も彼を救う事ができなかったわけだけれど、ラストに希望がかいま見えるのは、彼の絶望を理解した今なら、彼を救えるだろうか?? という問いかけが残されているからだ。

「牙を持って生まれた羊」は「誰も傷つけたくない」と願うからこそ、人と人の関係を断ち切り、閉じこもり、死を選んでしまう。
誰だって、誰かを傷つけることなど望んじゃいないのだ。しかし、自身の存在故に結果としてどうしても愛する人を傷つけなければならないとしたら、どうすればいいのだろう?

そうしたら、人と人の関係は限りなくゆがんでいく。

ゆがんだ見方をすれば、この主人公は単なる臆病な引きこもり少年で、「誰にもぼくのことはわからない」「ぼくのことは放っておいてくれ」とばかりに友達を拒絶し、たった一人だけ自分を理解してくれた姉とともに、自殺の道を選んだようなものだ。

そんな風に閉じてしまった魂を救うには、やはり思い切ってぶつかっていくしかないのだろう。八重樫さんのように。

結局、千砂は、母親を殺し、父親を殺し、弟まで殺してしまったわけだけど、それでも多分人々は、彼女を愛していたんだろうな。</FONT>

今度発売されるOVAが、どんな風にこの作品を切り取ってアニメ化するか、非常に興味があります。杉井監督だというので期待できそうです。楽しみですね♪