星の原休憩所

映画、アニメ、読書など、趣味の感想記録です。

「フィギュア17 つばさ&ヒカル」第6話

第6話「守りたいものはありますか」

いい話です。涙がぼろぼろになっちゃって困るくらい。
この作品に関しては「いい話です」という書き方しかしていないような気もするんだけど・・。

印象に残ったシーン。給食の時間に「もっとたっぷりよそってくれよ」と主張する男子に対し、つばさちゃんが「・・でも・・」と答えられないでいると、隣からクラス委員の女の子が口を挟んで「ダメ。一人分の分量は決まっているんだから」とそれを断る。「お前になんて聞いてねえよ」と男子はつばさに向かって「なあ、いいだろう?」と畳みかける。つばさちゃんはうつむいて、黙ってしまう。

そういう描写を見ていると、つらくなってくる。この子は本当に自己主張できない子なんだわ。他人に言われるままにしか行動できない。一体、自分はどうしたいのか、自分でもわかっていないのかもしれない。

その情けなさぶりがそのまま自分に重なって、胸が痛い。
最初から転校なんて嫌だったのに「お父さんがいいなら、私は別に・・。私はいいよ」と言ってしまうような女の子。こういう子どもをさして、大人は「素直ないい子」だと言うのだろうか?

小学生の学校生活を含めた日常をここまでリアルに丁寧に再現できることに驚きます。体育の時間の跳び箱、そこで見え隠れする女子同士のライバル意識。学級委員選抜のための「帰りの会」。その状況も的確。確かに小学生って、こんな形で「推薦します」と候補者を出して、「投票」で黒板に正の字を書きながら決めていくよね。クラス委員になりたい子、なりたくない子、周りで無責任にはやす子どもたち。それをなだめる先生など。

それでも、そんなつばさちゃんがヒカルちゃんのためだけには、勇気を出すことができる。ヒカルちゃんが死んでしまうかもしれないと思ったときには、彼女も戦うことができる。彼女にも守りたいものがあるのだと言うこと。

その姿に感動しました。それは「やればできるんだ」という自信にもつながっていく。私の中にも小学4年生のつばさちゃんがいるのだ。あのうじうじした少女は自分自身の影なのだ。彼女が頑張っているのに、私が何もしないでいいわけはない。
そういう意味で、この作品は「いい話」なのです。私に勇気をくれるから。

だから逆に、この作品を理解できない、必要としない人もまたいるんだと思います。