星の原休憩所

映画、アニメ、読書など、趣味の感想記録です。

「マリア様がみてる」 今野緒雪

26.「マリア様がみてる」 今野緒雪 集英社コバルト文庫 評価★★★★

冒頭の「タイが、曲がっていてよ」のシーンを読んで、なんとなく70年代の少女マンガを連想した。なんかなあ、大島弓子かなんかの世界っぽくない?(^^);

あと、思い出したのが「エースをねらえ!」の冒頭。部活動に遅れたひろみがお蝶夫人に「遅くてよ、ひろみ!」と怒られるシーン。この場合は、「お蝶夫人が私の名前を覚えていてくださった!」と喜んで、同級生にそれを話すんだけど、「なあんだ、怒られただけじゃないの」とか言われるんだよね。
(我ながらよく覚えているなあ・・とも思うけど、子供心に印象が強かったんだよ。「遅くてよ、ひろみ!」という池田昌子さんの凛とした声は・・。)

先輩のことを「お蝶夫人」と呼ぶセンスと、「紅薔薇さま」と呼ぶセンスは何となく近いなあ・・と思いました。(^^);

物語としては、割と普通の話でした。もっともっとあやしい百合ものかと思ったら、そうでもないのね。ちょっとだけ、サービス的に思わせぶりなシーンを持ってくるけど、決して、一歩踏み込んだりはしない。あるいは、その踏み込まない一線が、かえって同人の想像力をかき立てるのかもしれないけど・・。

この学園で「普通」の生徒にすぎない主人公が「薔薇さま方」のお姉様方とどんどん親しくなっていく。そんな中で、「完璧な人なんていないんだ」「誰も私に完璧を求めたりなんかしていない」「私は私のままで個性だと受け入れてくれる」と気づいていくのには、ちょっと共感する部分がありました。

完璧でいようとするから、「そうなれない自分」に対して落ち込んでいく気持ちはわかりやすいから・・。ちょっといい話だなあ・・と心に残りました。面白かったです。