18.「サマータイム」 佐藤多佳子 新潮文庫 評価★★★★★
なんだか思わず、久しぶりにピアノを弾いてみたくなるような小説だった。しかし、それはまず無理だから、とりあえず、ジャズピアノのCDでも聴いてみたい。とはいえ手持ちのCDにそんな立派なものはないので、仕方がないから「陽だまりの樹」のアニメサントラでもBGMにしよう。(この辺、所詮はアニオタ)
この小説は、「月刊MOE」の「MOE童話大賞」受賞作です。この作家のデビュー作で、文庫の解説を書いている森絵都氏同様、私も15年前に雑誌掲載で、この小説を読みました。で、それ以来、心の片隅でずっと覚えていたんですよね。この作者名とこのタイトル。
去年、やっと文庫化されて、本屋で見かけたときに、「あ、この話、昔読んで面白かったやつだ・・」と反射的に思い出して、そのまま購入。そろそろ夏になったから、久しぶりに読んでみました。
15年前の作品なのに、全然色あせていない。それぞれのキャラクターが魅力的なのと、彼らを描くさっぱりとした文体がいい。
個人的には、このヒロインのような気の強い怒りっぽい女の子は好きじゃないんだけど(と言うか、こういうタイプは非常に苦手)
「また、会えるといいね」
と、一言だけ書かれた最後の手紙にまつわるエピソードが印象に残りました。
書いた少年の心理と受け取った少女の心理。どちらも非常によくわかるので・・。
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