27.「どしゃぶりのひに」あらしのよるにシリーズ第5話 作:木村裕一 絵:あべ弘士 講談社 評価★★★★★
28.「ふぶきのあした」あらしのよるにシリーズ第6話 作:木村裕一 絵:あべ弘士 講談社 評価★★★★★
「禁断の恋」の行き着く果ては、「仲間たちによる迫害」そして、「逃避行」。「あの山の向こうに、二人が幸せに暮らせる緑の森があるのかもしれないよ」
「お前はだまされているんだ! オオカミとヤギが友達になれるわけはないじゃないか」「あいつらは、お前を利用しているだけなんだ」
同じことをオオカミも言われちゃって、「お前はだまされているんだ。純情そうな顔で、寂しいオオカミを利用しているのさ」
・・・かなり意訳が入っていますが、こんな感じ。もうみんなのところにはいられない。二人で逃げよう。ラブストーリーの王道パターンです。
ただし、その先に待つものは・・・。
王道の展開なんだけど、なんだけど、やっぱ、ここまでされると泣けちゃいます。二人とも・・・そんなに・・・そんなにまでして・・・。ぽろぽろぽろぽろ・・・。
最初はギャグ展開で始まったから、なおのこと、胸に響きました。
この作品がすごいのは、普通は大人向けの王道純愛物語を全面ひらがなで書かれている子供向け絵本で表現しちゃったと言うことでしょうか。しかも、毎回の「引き」がすごいんで、つい読まされてしまいます。
大人たちがありがちなストーリーだとついバカにしてしまう純情恋愛ロマンの中に、実は思いの外深いテーマを語っていたという事実に、改めてはっとさせられるところがすごいんだと思います。
何故、二人の愛(じゃなくて友情)を祝福してやれなかったのか・・・。オオカミとヤギはどうして友達でいることは出来なかったのか・・・。だれの中にもある偏見と差別意識をことさらに見せつけるように描いたことは、高く評価できると思います。
「花が好きなオオカミだっているんですね」「当たり前だよ」
このセリフが印象に残りました。
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