星の原休憩所

映画、アニメ、読書など、趣味の感想記録です。

富野由悠季監督「機動戦士ガンダム 逆襲のシャア」

3.富野由悠季監督「機動戦士ガンダム 逆襲のシャア」(日本・88)

映画公開時には劇場に行っていません。10年ほど前にレンタルで借りて見て、今回、視聴はそれ以来2回目です。

結論から言えば、非常に面白かったです。正直、10年前に見たときには何が言いたいんだかさっぱり?? という状態だったんですが・・・。(^^);

改めて見てみると、設定の細かさ、キャラクターの芝居の深さに感心します。「Z」よりも「F91」よりも遙かに大人向けのドラマにしあがっていると思いました。最近の作品で言えば「プラネテス」を何となく思い出しました。

それ故に読み解くのが非常に難しい。少なくとも10年前に視聴したときにはシャアの気持ちなんか全然わからなかったですね。

ララァ・スンは私の母になるはずの人だった」というセリフが昔よく茶化されていたけど、私にとっても「あのシャアがマザコン!?」という事実の方がよほどショックで嫌だったんだけど。(^^);

今ならわかるのは、シャアほどの男でも孤独と無縁ではいられなかった・・・ということですね。あれほどの大人の男がララァを失った哀しみから抜け出せないでいる。母親の愛を求める孤独な男として描かれるシャアが、それ故にこそ、地球なんか破壊してしまえ! という無茶な行動に出てしまう。

もうひとつ、絡んでくるクエス・パラヤと言う少女。彼女は両親の愛に飢えていた。分かり合う家族がいない彼女の孤独は、シャアの想いに惹かれてしまう。

クエスは父親を求めていたのに、それを疎ましく思ったシャアが彼女を突き放し、突き放した上で利用した。また、クエスを助けようとしたはずのハサウェイが、彼女を殺してしまったチェーンを今度は逆に撃ってしまう。

まさに、♪メビウスの輪から抜け出せなくて・・・という状態なんですね。TMネットワークのあの歌が、あんなに深く聞こえたのは初めてでした。

人は孤独からの絶望故に殺戮を望む。それは救いようのない無限地獄なのだ。クエスの想い、シャアの想いが痛いほど伝わった分だけ、厳しい映画でした。よかったです。

<a href="http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B00005HVM2/seiseikai-22/ref=nosim" target="_blank" class="ausgangsoft">機動戦士ガンダム 逆襲のシャア</a>