星の原休憩所

映画、アニメ、読書など、趣味の感想記録です。

「ブラックジャック21」第3話

第3話「悲しみのピノコ

また、原作ファンにケンカを売るような展開だなあ・・・と思った。まあ、最初からこの作品はファンに対してけんか腰だったような気もするんだけどね。
ただ、私はそもそも原作の「BJ」の熱心なファンじゃないし、だからこそオリジナル展開に対しては、むしろ興味津々で見守りたいと思っているんだけど、それでも、ストーリー上の気になった点については、きちんと触れてみたい。

自分もまあ、子どものいない夫婦の一人なので、ピノコを養女に受け入れようとした医者の方にうっかり感情移入しながら見てしまったんだけど、ピノコみたいな手のかかる子どもを引き取って、わざわざ養育してくれようなんて、ものすごくいい人たちなんじゃないのか?? と思ってしまった。(−−);

子どもがいないから犬を飼っていた。その犬が死んでしまったので、人間の子どもを引き取ろうと思った。その気持ちがすごくよくわかるので、ピノコの側に「また犬を飼えばよかったのにね・・・」と言わせてしまう心情にあんまりついていけなかった。

これが死んでしまった子どもの代わりにピノコを引き取ろうとした・・・という話なら別で、代わりにはなれないから・・・と去っていくんだったらまだわかるんだけど・・・。

確か原作にもそういうエピソードはあったし、この場合、「ピノコは飼い犬じゃないよ。ペット扱いにしないで」という主旨を描きたかったんだろうけど、今時は、子どものいない寂しさからペットを飼う人が増えているので、ペットの位置が昔よりはるかに「家族の一員」として格上げされていると思うのだ。そういう意味では、このエピソードは慎重に扱って欲しかったと思う。

特にかわいがっていた犬を失って、「死」を少しでも身近に捉えたはずの医者の夫婦が「ブラックジャック先生だって?? あの人は死んだんだよ。いるわけないじゃないか?」と言って、笑いあうシーンが入っているのは、余りにも無神経。(−−)# 夫婦を悪役に描くために仕方がなかったのかも知れないけど、どうにも気に障った。

なんにせよ、展開を急ぎすぎ。ピノコのエピソードをやるならやるで、もう少しじっくりと、子どものいない夫婦と養女、あるいはペットの問題をきちんと取り上げて欲しかったと思う。そういう風なテーマを持っていけば、きちんとした現代的な社会問題さえ、描けたかも知れないのに、余りにももったいない。

BJ先生の生死は不明のままでいいから、今回のエピソードはもっとじっくりと描いて欲しかったな。それだけが残念です。