星の原休憩所

映画、アニメ、読書など、趣味の感想記録です。

「非・バランス」 魚住直子

小説・一般22.「非・バランス」 魚住直子 講談社文庫

小学生の時にいじめにあったことを理由に、中学生になったら「クールに生きる」「友達は作らない」という目標を立てた主人公。だけど、私には、それが理解できなくて、なかなかこの子には感情移入できなかったかも知れない。

自分で決めた目標のために、あえて孤立する道を選んだというわけだから、そりゃ仲間はずれにされても自業自得だし、そのストレス解消に万引きをする心理も解せない。自分をいじめた相手には、ねちねちと無言電話の嫌がらせをし続けていたというわけだし、結構、性格が悪いんじゃないの? この子・・・という感じがする。

ただ、そんな彼女の姿をかっこいいと思ってくれた同級生もいたわけで、世の中捨てたもんでもないなあという気もしたし、そこから先、友達を得た彼女の行動力にはちょっと感心した。

まあ、結論だけ言えば、いじめっ子に対しては、無言電話なんかやっていないで、直接面と向かって抗議しにいけという話だ。ある意味、確かにそれはその通りかも知れないなあ・・・という気がする。なかなかそれができないから大変なんだけど、そのあたりの描写はかなり気持ちよかったし、その点では、ちょっと勇気をもらったかも知れない。