小説・一般2.「ぶらんこ乗り」 いしいしんじ 新潮文庫
いしいしんじの作品は、ちょっとブラックな不気味な怖さと、ちょっと切ない感動形の要素が混ざり合って、絶妙な味を出している感じがします。
姉と弟の物語だったのですが、現実の自分の弟を思い出してみるに、かわいいというよりは、生意気でちっとも言うこと聞かないし、ただのケンカ相手だったような思い出しかありませんけどね。このお姉ちゃんは「自慢の弟」と言い切っているから、なんだかすごいなあ・・・と感心しました。
そういう部分では、このお姉さんの気分に感情移入できずに、ちょっと気がそがれたのも確かなんですけどね。
それでも、ラストシーンに至るまでの引っかけには見事にだまされたし、最後の1頁はなかなか感動的でした。
弟の作る物語の数々は、印象的で面白かったです。よかったです。