小説・一般40.「宇宙のみなしご」 森絵都 フォア文庫
タイトルのイメージと、少年少女が夜に屋根に上る話だと聞いていたので、てっきり、中学生の孤独なこころを描いた悲しい小説なんじゃないかと思っていたんだけれど、読んでみたら全然。むしろ、明るくて前向きな中学生ばかりだったので、そう言う意味ではかなり期待を外しました。どちらかと言えば、がっかりした。
主人公の女の子は、明るく元気な少女だし、一つ年下の弟と仲がいい。不登校をしていても、友達が心配して、訪ねてきてくれるのだから、孤独な影はまったく感じられない。むしろ、私が感情移入したのは、その彼女が話すのを嫌がっていたクラスのいじめられっ子少年の方。
このおどおどした心配性の男の子を、彼女が嫌って、きつい言葉ばかり投げかけるので、読んでいて辛かった。彼の方は彼女が好きなんだと伝わるだけに・・・。
エンディングこそきれいなんだけれど、友達が迎えに来てくれるのは嬉しい。友達は大切だ・・・風にまとめてあるのは、本当にいじめられて不登校をやっている子供にはきつく見えるんじゃないかと心配になった。
だって、現実にいじめられている子供には、心配して迎えに来てくれる友達なんか一人もいないのが普通でしょ。まあ、そう言うメンタルな部分に関しては、ちょっと無神経な小説だなあ、という感じがした。
去年出たばかりの結構新しい小説なのに、ブックオフで100円で売られていたのを先日購入したが、売りに来たのはどんな人だったんだろうと、ちょっと考えてしまいました。古本屋に流したくなった気分がちょっとわかるような気がしたので・・・。