第45話「ボスニアからの知らせ」
エドモンが3月にボスニアにいた・・・と言う知らせから、あっという間に工場内では、「エドモン様が帰ってくるらしいぞ」という噂になってしまったのが、人間心理としてありがちでわかりやすい。それは、みんなの期待が形になったものだから、真実を知っているファブリさんが、なにげに困っちゃって、「でも、ボスニアにいたという情報だけなんですよ。帰ってくるとは限らないじゃないですか」みたいなことを言おうものなら、猛反発を食らっちゃって、「あんた! 私に恨みでもあるのかい?」という剣幕になっちゃうのも、ドラマとして、すごくこちらの気持ちに通じるものがあった。
それだけみんなエドモンに帰ってきて欲しかったんだよねえ・・・。ビルフランだって、すっかり帰ってくるものとして、るんるん気分になっちゃって。すごく嬉しそうな気持ちがよく伝わりました。真実を知るペリーヌだけが、暗鬱たる雰囲気。
その分だけ、ラストシーンで、ショックを受けるビルフラン様がかわいそうで、思わずもらい泣きですよ。そこは素直に、息子を失った父親の悲しみが見て取れました。若いときに、ケンカして追い出してしまった息子が、異国の地で死んでしまって、もう二度と会えないというのは、さすがに辛いだろう。
ドラマが上手いのは、その前に、「エドモンには、妻と子供がいると言うじゃないか。その家族をどうするつもりなんだい?」「妻など認めない。そんな妻子は、インドに追い返してしまえばいいんだ」と言う会話をしっかりさせているところですね。
こういう融通の利かなさ、頑固さ、自分勝手に自分の都合のいいようにばかり物事を考える身勝手さは、確かに権力を持った年寄りにありがちな傾向かと思えて、最近はとみに実感としてしみじみしますよ・・・。
そんな会話と、おそれていた現実の到来と、二重の形でペリーヌがショックを受ける流れにすごく感情移入しながら、見せてもらいました。盛り上がるだけ盛り上げて引いたから、続きもすごく楽しみです。