星の原休憩所

映画、アニメ、読書など、趣味の感想記録です。

薮下泰司、手塚治虫、白川大作監督「西遊記」

映画3.薮下泰司、手塚治虫、白川大作監督「西遊記」(日本・60)

手塚治虫の関連書籍を読んでいると、手塚治虫東映動画でアニメ映画を作ったときの話がときどき出てくるんだけれど、これがその作品ですね。一度、見てみたかったんだけれど、こんな古い作品、なかなかテレビでも放送しないし、レンタルにもないので、私にとっては幻の作品になってました。

先日のNHKBS冬休みアニメ特番で放送されたので、録画しておいたんだけれど、見るヒマがなくて今まで積んでました。今日は休みをもらったので、せっかくだから視聴。

西遊記」の原作は、小学生の時に子供向けの簡略版を小説で読んだので、大体のあらすじは知ってます。あと、70年代にドラマ化された「西遊記」も見てました。ただ、さすがに手塚治虫原作のマンガ「ぼくの孫悟空」は未読です。

で、本編の感想ですけど、お話的には表現が古すぎて、そんなに引っかかるところもなく見ていたんですけど、いかにも手塚っぽいなあ、と思えたのは、キャラクターや設定の和洋折衷ぶりで、舞台は中国のはずなのに、西洋風のキャラクターがいろいろ出てくるし、なんか世界各地のいろんなネタをごちゃ混ぜにつぎ込んだようなところがあって、それが独特で、面白いなあ、と思いました。

天界では古代ギリシアの兵士みたいな格好をしたのが出てきて、「二郎真君だ」と名乗ったから、さすがにこんなにしちゃっていいのかな〜? と思いました。

例の手塚治虫が「ラストでは、恋人の猿を殺すつもりだった」ともめたというシーンも、やっと見ることが出来ました。確かにこの場面で、この女の子が死んでいたら、あんまりと言えばあんまりかもしれないわ。

手塚治虫の主張が通らずに、ハッピーエンドになっているというのは、有名な話なんだけれど、いや、物語中、一番かわいそうな位置にいるのが彼女なんで、確かに最後ぐらい再会して報われないと、気の毒だよな〜とは思いました。悟空が旅に出てから、何度も彼を追いかけていって、やっと再会しても、またすぐに引き裂かれて別れることになって、なんかすごく健気でしたよ。

これでラストも彼女が死んで終わっていたら、ブーイングの嵐になりそうなんですけど、手塚先生は、どういう風にまとめて終わらせたかったのかな? それが気になると言えば、気になりますね。

長年、気にしていた作品なので、やっと見れて、一つ宿題が片付いた気分です。ちょっとすっきりしました。

http://www.toei-anim.co.jp/lineup/movie/saiyuki/