小説・一般35.「沼地のある森を抜けて」 梨木香歩 新潮文庫
ぬか床から人間が産まれてくると言う、不可思議な設定のファンタジーだった。この独特の世界観は、さすがに梨木香歩だなあ、と感心する。この沼が、大きな意味で子宮の象徴にもなっているのだろうか? と考えたり、間に挟まれる寓話的な物語の意味を、こういうことかな? とかいろいろ考えたりするのが、面白かった。物語の中では、明確な答えは記されていないのだけれど。
世界は最初、たった一個の細胞から始まった・・・という、細胞の抱えた絶対的な「孤」と、毒々しいイメージの母親像であるカッサンドラが印象に残りました。
なんとなく、すごい本を読んだというそういう感じです。